大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31(あ)1140 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人両角誠英の上告趣意第一点、第二点、第四点及び被告本人の上告趣意第一

点ないし第四点について。

被告人は昭和二九年三月一九日第一審判決判示第一の窃盗の事実の嫌疑で逮捕さ

れ、引き続き勾留されて同年四月九日一旦釈放されたところ、同日さらに右判決判

示第二の窃盗の事実の嫌疑で逮捕、勾留され、同月二六日保釈許可決定により釈放

されたこと、被告人は右第一事実については、同年四月一五日と一六日、右第二事

実については、同月二二日、それぞれ検察官に対し自白するに至つたもので、逮捕

後右各自白までの日数が二八日ないし三五日であることは、記録上明らかである。

しかし、本件事案の内容、取調の経過その他諸般の事情にかんがみると、右各自白

は当裁判所大法廷屡次の判例の趣旨に徴し(昭和二二年(れ)三〇号同二三年二月

六日宣告、集二巻二号一七頁、昭和二二年(れ)六〇号同二三年六月九日宣告等)、

不当に長く拘禁された後の自白であるとはいいえない。また、検察官が被告人の弁

護人に依頼する権利を妨げた旨の事実及び第一審判決が証拠に採用した被告人の検

察官に対する各供述調書の自白が所論のような強制、誘導等によるものであつて任

意性を欠くとの事実は、いずれも記録上これを認めるに足る資料が存しないし、両

角弁護人引用の判例は、事案を異にし本件に適切でない。それゆえ、原判決には所

論のような違憲、違法のかどはなく、論旨はすべて採用できない。

両角弁護人の上告趣意第三点は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張を出でない

ものであり、被告本人の上告趣意第五点ないし第七点、第九点及び第一〇点はいず

れも違憲をいうが、その実質は事実誤認、訴訟法違反の主張に帰し、同第八点は、

事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて、すべて刑訴四〇五条の上告理由に当

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らない。

また記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三三年一〇月一〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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